「職人」(※メインホームページより移動)(「楽天ブログ」再録:2002年 7月 7日) [雑談]

(※1996年12月11日にホームページにアップ
 した文章です)

(【※】がついている語句のリンクは、私が書いたコメント文が読めます)

 永 六輔さんの著書 【※】「職人」を読んだ。職人の口から
出たちょっとしたセリフ集・対談などが、平易な文章で
つづられている本だ。書名を新聞の広告欄で見かけたと
き、「これはぜひ読みたい」とピンとくるものがあった。
以下に、読んでいて「う~む」とうなってしまったいく
つかの言葉を挙げてみる。

※( )内は該当ページ


◎人間、ヒマになると悪口を言うようになります。悪口を言わない程度の忙しさ
は大事です(8P)

 著者いわく「いい台詞ですよね」。同感である。
自分自身を振り返ってみても、ネガティブな気分になるのは
「やりがいのある目標に向かって動いていないとき」だった。
逆にあまりに忙しすぎて余裕が全然ないのも、心がささくれ
だってきて他を不当に攻撃してしまいやすい。要は忙しかろ
うがヒマだろうが、日々、充足感をもって生きているかどう
かだ。

◎掃除がきちんとできない奴は、ロクなもんじゃありません。ものをつくる人間
は、まず掃除から修業すべきです(40P)
 うぎゃ~~耳がいたいー。でも、なかなか重要なポイント
だと思う。私なんて、あるものを使おうとして見つからず、
探すのに手間取って時間を無駄にすることがよくある。様々
な物が、きちんと整理されていないからだ。押し入れはゲー
ムソフトやら雑誌やらでごった返してるし……年末までには
何とかしよう。(って、去年も思ってなかったか?)

◎褒められたい、認められたい、そう思い始めたら、仕事がどこか嘘になります
(60P)
 誰でもほめられたいし認められたい気持ちは少なからず持
っている。しかし、そのことが第一目標になってしまうと何
処か、ヘンになる。自戒の言葉だ。

◎名声とか金は、歩いたあとからついてくるものだった。名声と金が欲しくて歩
いている奴が増えてますねェ(69P)
 これも、ひとつ上の言葉に通じるものがある。

------------------

 職人は、整った言葉でごたくを並べるよりも実践を
重んじる。おそらく、普段余計なことは口にしない彼
らの何気ないひとことが聞く者の心に深く響くのは、
その言葉が口先だけでない、地道な行動力に裏打ちさ
れているからだ。
 職人。この言葉から連想するイメージは、たとえば。

「てやんでぃ、べらんめぇ、こちとらチャキチャキの江戸ッ子でい!」

 --なんてタンカをきってみせる、腕のいい大工さん。
こういうステレオタイプな人物像以外にも、職人は存在
する。目に見えるものをつくりだす人だけが職人なので
はない。コンビニのアルバイトなら接客態度、袋づめの
技術。主婦なら家事全般。会社の重役ならリーダーとし
ての自覚と広い視野にもとづいた行動。あらゆる仕事に
おいて、対象に向かうときの真摯な姿勢と鍛練された技
術があれば皆、「職人」なのだ。「その職を究める人」
--職人という言葉を、私はそう解釈している。

 最近は職人の数が少なくなっており、また、世のなか
の仕組みが職人にとって生きづらい風潮となっているら
しい。著者は本書のなかで、こう言っている。

「職人の仕事を支えるのは、それを評価して買う人たちです」(151P)

 ゲーム業界の場合だと、いいソフトは中古で安くなる
まで待たずに新品で買う。市場を育てるとは、そういう
ことだ。しかし、良質のソフトは発売日に新品で買って
あげるのが理想だとはわかっていても、こうまでソフト
の数が多いと、現実問題としてそうも言っていられなく
なる。一番いいのは「ソフトの発売ペースはゆっくり」
で「粒ぞろいのソフト」を「じっくりと遊ぶ」。さらに、
「ソフトの定価は作品の質に見合った値段」で、「メー
カーは安心して一本の作品に時間をかけることができ、
利益も上がる」というパターン。こんな好循環が実現し
たら、どんなに素敵だろう。そのためにはユーザーひと
りひとりが、限られた情報から良いものを選択する力を
養っていかなければならない。

「良い観客になるためには、良い役者になるのと同じくらいの勉強が必要だ」
(175P)

 最後に、この言葉を胸にきざんで--本をとじた。


2009-03-29 06:35  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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